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酔っ払いに対しての怒りはどうすればいいのか

酔う…ということは、意識がぼんやりと曖昧で、脳内の神経コントロールがユルユルになっているということ。アルコール=ハイ(HIGH)になれるクスリだと思われているが、実はアルコールは、体内ファンクションのコントロールを麻痺(ロウ/LOW)にさせるクスリだ。

そんなクスリが入っている状態…つまり、正常な状態でない相手に対して怒る、というのはどうなのだろう。意味があるのだろうか。そうすべき所ならば、そうすべきなのだろうか。

―――事の発端は、先日の酒の席。メキシコから土産として持ち帰ったテキーラの瓶を開け、気心知れた仲間で飲んでいた時だった。

ウメコが買ってきたテキーラは、同じ売り場の中にあった他のテキーラよりも、倍の値をしていたもので、その値段が仄めかす通り、上等な物だった。ウメコがメキシコのホテルで飲んだテキーラよりも、レストランで飲んだものよりも、随分と風味があって、後味がまろやかで。喉がひり付く感覚も少なく、とても飲みやすく、とても美味いものだった。

なかなか美味しいテキーラに当たることが無いものだから、皆、一同に口をそろえて、美味い・美味い、と飲んでくれた。少し値は張ったけれど、そうやって皆が美味しそうに、愉快そうに、それを楽しんでくれていたから、ウメコは素直に「これを買ってよかった」と思えた。

ただ、そうやって飲んでいるうちに、仲間の内の1人のテキーラを飲むペースがぐんぐんとあがり始めた。しかし、話していても、支離滅裂な事を返してくるわけでなし、顔が蛸の様に赤くなるわけでなし。誰も彼を「酔っ払い」と認識すること無く、その場は和やかに流れていった。

「そろそろゲームでもするか」

そう、誰かが言った次の瞬間。

ガタン、という音と共に、小さな本棚の上に飾ってあった写真や、置き物や、日焼け止めクリームが床に散らばった。酔っ払っていない、と誰もが思っていた彼が、本棚にぶつかったのだ。

「あぁ………ごめんごめん」

彼の口はそう呟き、彼の二つの手は床に落ちた物達を拾い上げ始めた。酷く緩慢な動きで、ようやく誰もが「あぁ、酔っ払ってるな」と彼を認識した瞬間だった。やれやれ、と思いながら、ふと、床に目をやると、

置き物の1つが見事に壊れていた。

ウメコだって極端に短気な人間じゃない。冗談めかして怒るフリをする事はあっても、本気で「キレる」だなんて事は、随分長い事していない。それこそ、最後に本気で誰かに怒りをぶつけた時を思い出すのが困難なぐらいだ。ただ、この時ばかりは少し状況が違った。もしこれがウメコが自分で気に入って買ったものなら、今ほど怒っていなかったと思う。「しょうがない。もう割れちゃったんだし」の一言で間違いなく済ませていただろう。

けれど、この時に壊れた物は、ウメコの高校の時の友達が、ウメコのバースディ・プレゼントとしてくれた物だった。とても小さな、小ぶりの置き物だけれど、その置き物は、ウメコの大事な友達がくれた物で、ウメコが気に入っていたものだ。

それを贈ってくれた友達の手作りではないから、探せば同じものが見つかるだろう。もっと言えば、それは接着剤を使えば、元通りになるような壊れ方だったから、接着剤さえ買ってくれば、今までどおり、置き物としてウメコの目を楽しませてくれるのだろう。

ただ、そんな事は本当に瑣末な問題だ。

友達が、ウメコの為に時間を割き、お金を出してくれたものを、そんな風にされるのは大層気分が悪い。そして、それを壊しておきながら、なかば呂律の怪しい「ごめん」を数回繰り返して終わりにされるのは、もっと気分が悪い。

そして、それよりも何よりも気分が悪い事は、当の本人が酔っていた、ということだ。結局、意識がしっかりしていなかった時にやってしまったことなのだ。曖昧な意識状態下にある人間がやって、どこか反射的に「何か悪いことをした」と思い、やはり反射的に「ごめん」と言っているのだけなのだ。

そんな人間に対して、ウメコは「怒る」という気になれない。反省する能力があるのならば怒るが、ウメコの言葉すらまともに聞けるのかどうか怪しい人間に、労力を費やすような事は極力したくない。相手がロクに物事を理解出来ない状態なのに、顔を朱に染め、眉を吊り上げ、声を張り上げ、目で相手を射殺す事に何の意味があるのだろう…そう思ってしまうのだ。例え、彼の耳にウメコの声が聞こえていたとしても、きっと反省には至らないだろう。仮に反省に至ったとしても、次の日には綺麗に忘れているだろう。聞けば、翌日、別の仲間に「自分がどうやって家にたどり着いたのか覚えていない」と言っていたそうだ。

結局、その時は怒らずに終わらせた。もう、ただただ面倒だという感覚だった。彼の起こした粗相は何もこの時だけではない。以前から、皆が集まるたびに、酒が入るたびに、何かをやらかしていた。もう、「慣れっこ」だ。もしかすると、「怒り」と呼ぶよりも、「呆れ」という感覚だったのかもしれない。

本当は、もっと前からきちんと怒るべきだったのかな…と思う。それと同時に、結局酔っ払っているのだから、何を言っても意味が無い、とも思う。怒りの対象が正常に機能していない意識しか持たない場合というのは、厄介だ。時間を置いて言ったところで、本人には自覚がない。寝耳に水、というようなところだろう。

きっと、さっさとその人間を自分の輪の中から排除してしまえば良いのだろうが、酒癖の悪さだけで人を判断するのもどうかと思うし、事実、他の点で言えば、良い所もある人間だ。

そんな訳で、このどうしようもないモヤモヤを今は体内に溜め込んでいるのだよ…という話。あー久々にカタい感じで書いたなー。

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コメント

それは切ないなぁ…!
良い気分の時にそんなんあると余計にへこむよな…。

形ある物はいつか壊れるて言うたら身もふたもないけどそん時やったんちゃうかなぁ。
こんなん言うて気ぃ悪くしたらごめんな…伝わってるかな…。
ほんで、物はもちろんやけど人との関係も壊れるべくしてあるもんなんちゃうかなと…。
悪気はなくても悪い人じゃなくてもウメコが嫌やなって思ったら疎遠になってもええんちゃうかと。
わがままかな笑。
でも大事なもんやったんやし、その子も今後同じ様なことでたぶんトラブると思う…。
お前のそういうとこ気にいらんのやで…!てちゃんと言うのは大事かなってエムジーは思いました、アレ、作文?

投稿: エムジー | 2009/10/04 23:39

作文ありがとうww

まー…大概長い間、こやつのグデグデっぷりを放置し続けてたうちにも
責任はあるわな。でも、根本的にウメコは優しい人間ではないので、
「ずっとそんなんでおれ!ほいで、この先5年後ぐらいに、上司にボロクソに怒られたらええ!」
と思ってしまうのだよ。大人になってから、偉い人からビッシャビシャに怒られるって
なかなか凹むでしょ。性悪だなぁ、この発想…。

そんな訳で、放置です。

投稿: umeco | 2009/10/06 20:04

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